両親が亡くなり空き家となった実家。いつかは片付けなければと思いつつも、一軒家の遺品整理となると「費用はどのくらいかかるのだろう」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。
アパートやマンションの一室と違い、一軒家は部屋数が多く、押入れや物置、倉庫、庭に至るまで長年蓄積された荷物が大量に残されていることがほとんどです。自分たちだけで片付けようとしても、時間も体力も足りないというケースは珍しくありません。
一軒家の遺品整理の費用は、一般的に15万円から70万円程度が相場とされていますが、荷物の量や作業条件によっては80万円以上かかることもあります。本記事では、一軒家の遺品整理にかかる費用を間取り別に詳しく解説するとともに、費用が決まる仕組み、費用を抑える具体的な方法、信頼できる業者の選び方まで、網羅的にお伝えします。
Contents
一軒家の遺品整理の費用を間取り別に解説
一軒家の遺品整理の費用は、間取り(部屋数)が最も基本的な指標になります。部屋数が多いほど荷物の総量が増え、作業時間・人員・トラック台数もそれに応じて必要になるため、費用は上がります。
1LDK〜2DKの一軒家:6万円〜30万円
コンパクトな一軒家や、都市部のログハウスなどに見られる間取りです。荷物が少なければ1日で作業が完了し、費用も比較的抑えられます。作業人数は2〜3人、作業時間は2〜5時間が一般的です。一軒家としては最も費用を抑えやすい規模ですが、物置や庭に荷物が大量にある場合は増額となることがあります。
2LDK〜3DKの一軒家:9万円〜45万円
都市部の比較的コンパクトな一軒家に多い間取りです。部屋数が増える分、家具や家電の量も増加し、仕分けと搬出に時間がかかります。作業人数は3〜5人、作業時間は4〜7時間程度が目安です。長年住み続けた住宅の場合、各部屋の収納に詰め込まれた物品が想像以上に多いことがあります。
3LDK〜4DKの一軒家:15万円〜70万円
日本の一軒家で最も標準的な間取りです。平均的な一戸建ての面積は35〜40坪とされており、この間取りが最も多いことから、一軒家の遺品整理の費用相場を語る際の中心的な価格帯と言えるでしょう。作業人数は4〜7人、作業時間は5〜10時間程度で、2トントラック2〜3台分の荷物が出ることも珍しくありません。
4LDK〜5DKの一軒家:22万円〜80万円
部屋数が多く、収納スペースも広い一軒家です。2階建てで各階に複数の部屋がある場合、階段を使った搬出作業が加わるため、作業効率が下がり費用が増える傾向があります。作業人数は5〜8人、作業日数も1日で収まらず2日にまたがるケースが出てきます。
5LDK以上の一軒家:27万円〜85万円以上
広い敷地に建つ大型の一軒家で、母屋に加えて離れや倉庫、納屋が付属しているケースもあります。農機具や資材、古い家電製品など、屋外に保管された物品の整理も加わると、費用は一気に膨らみます。2トントラック4〜5台以上の荷物が出ることもあり、作業日数は2〜3日にわたることもあります。
上記はあくまで一般的な目安であり、同じ間取りでも荷物の量や作業環境によって費用は大きく異なります。正確な金額を知るためには、必ず業者に訪問見積もりを依頼してください。
一軒家の遺品整理の費用はどのように決まるのか
一軒家の遺品整理の費用は、複数の要素が組み合わさって算出されます。見積もり金額に納得するためにも、何が費用に影響しているのかを把握しておきましょう。
荷物の総量が最大の決定要因
遺品整理の費用に最も大きく影響するのは、処分・搬出する荷物の総量です。長年住み続けた一軒家では、2トントラック3〜5台分の荷物が出ることも珍しくありません。荷物が多ければ仕分け・梱包・搬出・運搬・処分すべての工程で作業量が増え、費用は比例して高くなります。
特に注意が必要なのは、物置や納屋、倉庫の中身です。見積もりの段階で「物置の中は見ていなかった」というケースがあると、作業当日に追加費用が発生するトラブルの原因になります。現地見積もりの際には、敷地内のすべての収納スペースを業者に確認してもらいましょう。
作業人数と作業時間
荷物の量と搬出の難易度に応じて、必要な作業人数と所要時間が決まります。人件費は遺品整理費用の中で大きな割合を占めるため、人員が多く作業時間が長いほど費用は高くなります。2日以上にわたる大規模な作業では、日数分の人件費が加算されます。
搬出経路と建物の構造
一軒家はマンションと違いエレベーターの問題はありませんが、2階や3階からの搬出は階段の上り下りが必要になるため、その分の手間が費用に反映されます。また、家の前の道路が狭くトラックが横付けできない場合は、人力での運搬距離が長くなり、追加費用が生じることがあります。
一方で、一軒家は玄関や勝手口から直接搬出できることが多いため、マンションの高層階のように搬出が極端に困難になるケースは少なく、構造面では比較的有利な場合もあります。
処分品の種類と特殊な品物
家電リサイクル法の対象品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)は、別途リサイクル料金が必要です。一軒家ではこれらの家電が複数台ある場合も多く、リサイクル費用だけで数万円に達することがあります。
さらに、仏壇やピアノ、金庫、消火器、耐火金庫、農機具など、特殊な処分方法が必要な品物には追加費用が発生します。見積もりの段階でこれらの品物の有無を業者に伝えておくことで、後からの追加請求を防ぐことができます。
庭木・庭石・物置の撤去
一軒家特有の費用として、庭木の伐採・処分、庭石の撤去、物置やカーポートの解体などがあります。これらは通常の遺品整理には含まれず、別途見積もりとなることが一般的です。家の売却を予定している場合は、不動産会社と相談して必要な範囲を決めましょう。
地域差
都市部と地方では物価や人件費が異なるため、同じ作業内容でも費用に差が出ることがあります。また、処分場までの距離が遠い地域では、運搬費が割高になる傾向があります。
一軒家の遺品整理で費用が高額になるケース
一軒家の遺品整理は、以下のようなケースで想定以上に費用が膨らむことがあります。事前に把握しておくことで、心の準備と予算の確保がしやすくなります。
ゴミ屋敷状態の一軒家
生前から荷物を溜め込む習慣があった場合、一軒家の中が「ゴミ屋敷」状態になっていることがあります。床が見えないほどの荷物、積み上がった段ボール、未開封の通販商品など、通常の何倍もの搬出量が必要になるため、費用は80万円以上、場合によっては100万円を超えることもあります。
孤独死が起きた一軒家
孤独死が発生した一軒家では、通常の遺品整理に加えて特殊清掃が必要になります。体液の除去、殺菌消毒、消臭処理、害虫駆除、場合によっては建材の解体やリフォームも必要です。特殊清掃と遺品整理を合わせた費用は平均60万円前後ですが、腐敗が著しいケースでは数百万円に達することもあります。
敷地内に倉庫・納屋・離れがある
母屋だけでなく、倉庫や納屋、離れにも大量の荷物がある場合は、それぞれの建物の片付け費用が加算されます。特に農家の一軒家では、農機具や肥料、古い道具類の処分に手間と費用がかかります。
一軒家の遺品整理の費用を安くする方法
一軒家の遺品整理は高額になりがちですが、工夫次第で費用を抑えることが可能です。
自分でできる範囲を先に片付ける
業者に依頼する前に、明らかなゴミや不用品を自治体の収集日に合わせて処分しておきましょう。燃えるゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミなどを自分で出しておくだけで、搬出量が減り費用が大幅に下がります。特に衣類や書籍、雑誌類は量が多いので、事前に処分する効果が大きいです。
複数業者から相見積もりを取る
一軒家の遺品整理は費用が高額になるだけに、業者による金額の差も大きくなります。最低でも2〜3社から訪問見積もりを取り、作業内容と金額を比較しましょう。見積もりは無料の業者がほとんどですので、遠慮なく複数社に依頼してください。
遺品の買取を活用する
一軒家には、骨董品、古い家具、ブランド食器、貴金属、状態の良い家電など、意外と価値のある遺品が眠っていることがあります。買取に対応している遺品整理業者に依頼すれば、買取金額を作業費から差し引いてもらえるため、実質的な負担を軽減できます。
家の売却とセットで考える
一軒家を売却する予定がある場合は、不動産会社と連携している遺品整理業者に依頼することで、売却に必要な片付け範囲を効率的に判断でき、無駄な作業と費用を省ける場合があります。
自治体の支援制度を確認する
自治体によっては、空き家の片付けや遺品整理に対する補助金や助成金制度を設けている場合があります。お住まいの地域の役所や社会福祉協議会に問い合わせてみましょう。
一軒家の遺品整理は自分でやるべき?業者に依頼すべき?
一軒家の遺品整理を自力で行うか、業者に依頼するかは、費用面だけでなく時間や体力、精神的な負担も含めて総合的に判断する必要があります。
自分で行う場合のメリット・デメリット
自分で遺品整理を行えば、業者への依頼費用を大幅に節約できます。また、故人の思い出に丁寧に向き合いながら作業できるという精神面でのメリットもあります。
一方で、一軒家の荷物量を自力で片付けるには、数週間から数か月かかることも珍しくありません。大型家具の搬出には人手も必要で、遠方に住んでいる場合は交通費や宿泊費もかさみます。体力的な負担も大きく、特に高齢の遺族だけでは困難な場合も多いでしょう。
業者に依頼する場合のメリット・デメリット
業者に依頼すれば、一軒家の遺品整理でも1〜2日で完了するのが一般的です。大型家具の搬出や不用品の処分、ハウスクリーニングまでまとめて任せられるため、遺族の負担は大幅に軽減されます。貴重品の捜索や遺品の買取にも対応してくれる業者であれば、ワンストップで効率的に進められます。
デメリットとしては費用がかかる点ですが、前述の方法を活用することで負担を抑えることが可能です。費用と時間・労力のバランスを考え、部分的に自分で作業し、残りを業者に依頼する「ハイブリッド方式」も有効な選択肢です。
一軒家の遺品整理を依頼する業者の選び方
一軒家の遺品整理は作業規模が大きいだけに、業者選びの重要性も増します。以下のポイントをチェックしましょう。
訪問見積もりを行ってくれるか
一軒家は間取りや荷物量の個人差が大きいため、電話やメールだけの概算見積もりでは正確な金額を出すことができません。必ず現地に来て、すべての部屋と収納スペース(物置・納屋を含む)を確認した上で見積もりを出してくれる業者を選びましょう。
見積もり後の追加請求がないか
「見積もり金額=最終請求金額」を書面で保証してくれる業者を選びましょう。見積もり後に「想定より荷物が多かった」などの理由で追加料金を請求する業者はトラブルのもとです。
遺品整理士の資格や廃棄物処理の許可があるか
「遺品整理士」の資格を持つスタッフが在籍しているか、一般廃棄物収集運搬業の許可を取得しているかは、業者の信頼性を測る基本的な基準です。許可のない業者に依頼すると、不法投棄のリスクがあります。
口コミ・施工事例を確認する
一軒家の遺品整理は高額になるため、過去の施工事例や利用者の口コミを確認してから依頼するのが安心です。特に一軒家の事例が多い業者は、大規模な作業のノウハウを持っている可能性が高いと言えます。
買取やリフォームにも対応しているか
遺品の買取やハウスクリーニング、簡易リフォームまで対応できる業者であれば、複数の業者に別々に依頼する手間が省け、トータルコストも抑えやすくなります。
まとめ
一軒家の遺品整理の費用は、間取りと荷物量を基準に15万円から70万円程度が一般的な相場です。ただし、ゴミ屋敷状態の住宅や孤独死が起きた現場、倉庫や納屋が付属する広い敷地の住宅では、80万円から100万円以上かかるケースもあります。
費用は荷物の総量、作業人数と時間、搬出経路、処分品の種類、庭木や物置の撤去の有無、地域差などによって決まります。正確な金額を把握するためには、必ず複数の業者に訪問見積もりを依頼し、作業内容と金額を比較検討することが大切です。
費用を抑える方法としては、事前の自力片付け、相見積もり、遺品の買取活用、自治体の支援制度の利用などがあります。また、すべてを自力で行うか業者に任せるかだけでなく、部分的に自分で片付けて残りを業者に依頼する方法も、コストと労力のバランスを取る有効な選択肢です。
大切な家族が暮らしていた一軒家の遺品整理は、体力的にも精神的にも大きな作業です。信頼できる業者のサポートを受けながら、故人の思い出に丁寧に向き合える環境を整えてください。
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この記事について
大邑政勝
- 家財整理専門会社エバーグリーン 代表
- 一般社団法人 家財整理相談窓口 理事
- 一般社団法人 日本特殊清掃隊 理事
特殊清掃、遺品整理、火災現場復旧など10年にわたる現場経験と多種の資格を有し、豊富なノウハウで顧客第一のサービスの提供に努める。



