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住む予定のない空き家を相続してしまったら?損をしないためにやるべきこと

住む予定のない空き家を相続してしまったら?損をしないためにやるべきこと

日本全国で「空き家」の増加が問題となっています。空き家は適切に管理を行なわないと、周囲に迷惑をかけてしまい、場合によっては行政から適切な処置をするよう命令が下されてしまったり、行政代執行により解体されてしまうこともあります。

今回は、住む予定のない空き家を手に入れたときにやるべきことを、分かりやすく解説していきます。

空き家の相続が決まったときにやるべきこと

相続税や固定資産税について確認する

たとえ自分が住まない空き家であっても、相続する場合には相続税や登録免許税が、所有を続ける場合には固定資産税などの税金が、空き家を売却(譲渡)する場合には所得金額に対して所得税や住民税などがかかります。

どのような種類の税金が、どの程度かかるのか。空き家の処置に応じた税種や金額をきちんと把握して、支払いの漏れが無いようにしましょう。

税金の支払いにあたっては様々な優遇措置が使えることがあるので、それらを確認しておくことも重要です。例えば平成28年度の税制改正により、相続した空き家を譲渡したことで得た所得から最高3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」という措置が新たに設けられています。

空き家の状態を確認する

空き家を相続することが決まったときには、どう処分するかに関わらず、自分の目で状態を確認することをおすすめします。特に長いこと足を運んでいなかった場合には、記憶している状態から変化していることが多く、だいぶ劣化が進んでいることも少なくありません。

特に相続前の所有者が高齢であった場合には、日々の管理が不十分であったために建物内外の環境が不適切な状態になっていることがあります。例えば庭の草木が伸びきっていて隣家に入り込んでいたり、壁や柱、床が劣化して崩れそうになっているなど。放置しておくと危険な部分があれば、住まない場合でもきちんと処置しておく必要があります。

また、空き家に家財道具等が残っていると、空き巣に入られたりする可能性があるので、速やかに片付けるか自宅に持って帰ることをおすすめします。

電気・ガス・水道についてどうするか考える

空き家の電気・ガス・水道といったライフラインは、空き家をどう処置するかで、契約を継続すべきか(使えるままにすべきか)、使用停止すべきかが変わってきます。

まずガスについては、住む予定がないのであれば使用停止してしまって良いでしょう。人が住まない限りは使うことがありませんし、掃除などのために訪れてたとしてもガスが使えなくて困ることはありません。

電気と水道については、将来的に譲渡したり賃貸に出す可能性がある場合や、ひとまず解体はせずに現状管理を続ける場合は、契約を継続して使える状態にしておいた方が良いでしょう。特に水道は、定期的に水を通しておかないと配管の内部にサビが発生してしまうので、要注意です。

ちなみに電気のブレーカーについては、基本的には切っておいて問題ありませんが、ホームセキュリティシステムなどを使う場合には、入れておく必要があります。

郵便や新聞を止める

空き家の相続に際しては、空き家に送られてくる郵便と新聞を止めることも重要です。これには、無駄な出費を削減する以外にも、空き家の防犯面で重要な意味があります。

郵便や新聞が回収されずに郵便受けに溜まっていると、空き家であることがすぐに分かってしまいます。定期的に人が出入りしていない空き家は、空き巣に入られたり、放火魔に狙われたり、詐欺に悪用されたりもします。過去には、脱走した受刑者が隠れ家として空き家を使っていたケースもあるなど、空き家は犯罪の温床となる可能性があるのです。

郵便の場合は、受取人が死亡した事実を郵便局が把握すれば、郵便物は配送されずに差出人に戻されます。ただし、郵便局が把握するまでは郵便物が届くままなので、早めに空き家の最寄りの郵便局に相談しに行きましょう。

新聞の場合は、解約をしなければ配達が止まることはないので、こちらも早めに解約の手続きをしてください。

この他にも、雑誌の定期購読などを郵便ではなく宅配業者が届けているなどのケースがあるので、相続してからしばらくの間は、空き家の郵便受けはこまめに確認しておくと良いでしょう。

火災保険に加入する

空き家といえど、火災や自然災害により被害を受ければ、修繕や取り壊しのコストがかかってしまいます。こうした火災や自然災害に備えて、火災保険等に加入することも検討しましょう。

ただし、空き家の加入できる保険や加入条件等は、一般的な家庭とは扱いが異なっているケースが多いです。保険会社によく相談して、必要な保険を考えるようにしましょう。

放っておくのは絶対にNG!空き家の放置によるデメリット

空き家対策特別措置法が定める「特別空き家等」とは

空き家を管理するにあたって必ず知っておいていただきたいのが「特別空き家等」というキーワードです。

特定空き家等とは、端的にいうと適切な管理が行われておらず危険な空き家のこと。「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家等対策特別措置法)」に基づき、以下のような条件に該当した場合に行政が指定するものです。

・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

・著しく衛生上有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

所有している空き家が「特定空き家等」に指定されると、土地に住宅が建てられている場合に適用される「住宅用地の特例」が除外されてしまいます。住宅用地の特例は、土地に対する固定資産税の課税標準を1/6にする措置なので、これが除外されてしまうと土地に対する固定資産税が6倍に増えてしまう計算になるのです。

さらに、「特定空き家等」に指定された場合、行政から空き家の管理について助言、指導、勧告、命令が出されます。これらに従わなかった場合「行政代執行」として取り壊し等の処分が行なわれることになります。この際にかかる費用は所有者の負担となってしまうので、「特定空き家等」に指定される前に、遅くとも行政から助言が出された段階で適切に処置することが重要です。

建物の劣化・環境の悪化が進行する

建物や庭は、人の手が入らなくなると途端に痛みが早くなります。適切な処置をしないで放っておいてしまうと、敷地内で草木が生い茂ったり、建物の床や壁、屋根の材料が劣化していき、最終的には倒壊につながってしまう危険性があります。

建物の劣化や環境の悪化は、進めば進むほど改修等にかかる手間や費用が大きくなってしまいます。何より、場合によっては隣家など周囲に迷惑をかけてしまうこともあるので、適切な管理が必要です。

以下の表を参考に、空き家を現状のまま管理する場合には、定期的に傷み具合を確認するようにしてください。

建物内部の劣化

天井ハガレ、たわみ、浮き、シミ、カビ
ハガレ、たわみ、浮き、シミ、カビ
ハガレ、たわみ、浮き、シミ、カビ、傾き
室内ドア・障子開閉の不具合、傾き
給水・排水設備赤水、詰まり、臭い、水もれ

建物外部まわりの劣化

屋根ズレ、割れ、サビ、苔、ハガレ
軒裏シミ、汚れ、浮き、苔、ハガレ
雨とい水漏れ、ハガレ、ヒビ、割れ
窓・出入り口ドア割れ、ヒビ、開閉の不具合、傾き、施錠の不具合
バルコニー破れ、虫食い、腐朽、反り、たわみ、サビ、ぐらつき
外壁汚れ、色あせ、サビ、苔、ハガレ、ヒビ
家回り塀の異常、樹木・雑草の繁茂、害虫・害獣の発生
土台・基礎ヒビ、割れ、傾き、腐朽、虫食い、蟻道

※参考:『空き家ガイドブック 相続から管理・利活用まで』(山口県)

事件や事故が起きる原因になる

空き家の放置を続けて荒れた状態にしてしまうと、様々な事件や事故が起きる原因になります。

中でも要注意なのが「放火」です。管理が行き届かず荒れ果てている空き家は、放火犯にとっては格好の獲物になります。通常、放火は「失火(過失による火災)」と見なされるため、仮に隣家等に被害が生じても損害賠償責任は問われないとされます。しかし空き家の場合、適切な管理を怠ったことが「重大な過失」と見なされると、責任を負わなければならない可能性が出てきます。

また、台風などの影響で建物の一部が飛散したり、塀や樹木が倒れたりすることで、周囲の人々に被害をもたらす可能性もあります。ほかにも過去には、詐欺グループの拠点として使われたり、脱走囚の隠れ家として使われたりなど、犯罪に巻き込まれるケースがいくつも発生しています。

住まない空き家の適切な管理方法

住まない空き家の管理は、月に1回のペースで行なうのが理想です。以下の表を参考に、定期的な管理を行なうようにしましょう。

内部の適切な管理方法

通風・換気(60分程度)すべての窓・収納扉 ( 押入れ・クローゼット ) の開放換気扇の運転
通水(3分程度)各蛇口の通水各排水口に水を流す ( 防臭、防虫のため )
清掃室内の簡単な清掃

外部の適切な管理方法

郵便物整理ポスト、玄関への郵便物・配布物の整理
敷地内清掃敷地内の落ち葉やごみの掃除
草取り・庭木の剪定草取り、越境している枝やツルの剪定庭木の剪定、消毒

点検箇所

雨漏りの確認すべての部屋に雨漏りがないかチェック
建物の傷み建物に傷んでいるところはないかチェック
設備の傷み水漏れなどがないかチェック

※参考:『空き家ガイドブック 相続から管理・利活用まで』(山口県)

空き家が遠方にあるなどして定期的な管理が難しい場合は、専門の業者に依頼する方法もあります。費用と手間を天秤にかけたら業者に依頼する方が圧倒的に楽、ということも多いので、こちらも検討してみると良いでしょう。

空き家の整理や片付け、清掃は専門業者に依頼しよう

今回は、住む予定のない空き家を手に入れたときにやるべきことについて、空き家を放置することのデメリットも交えながら解説してきました。

空き家の整理や片づけ、清掃は、可能なのであれば自力でするのが良いですが、距離的な問題や仕事の都合からなかなか難しいのも実状です。そうした場合は、専門の業者に依頼するのも良い手段です。

エバーグリーンでは、荷物の整理・整頓から大量の不要物の処理、各種特殊清掃に至るまで、様々な片付け・清掃作業を承っております。

空き家の整理や片づけ、清掃に関してお悩みの方はぜひ、エバーグリーンまでご相談ください。

大邑政勝

この記事について

監修

大邑政勝

  • 家財整理専門会社エバーグリーン 代表
  • 一般社団法人 家財整理相談窓口 理事
  • 一般社団法人 日本特殊清掃隊 理事

特殊清掃、遺品整理、火災現場復旧など10年にわたる現場経験と多種の資格を有し、豊富なノウハウで顧客第一のサービスの提供に努める。

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