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ダイヤモンド・プリンセス号での新型コロナウイルス除菌作業~代表・大邑の体験談~

ダイヤモンド・プリンセス号での新型コロナウイルス除菌作業~代表・大邑の体験談~

2020年の2月。まだ日本国内での新型コロナウイルス感染者数が10数例しか確認されていなかった頃、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」において新型コロナの集団感染が発生しました。ダイヤモンド・プリンセス号では、自衛隊による各種作業の後、民間企業等が除菌作業を実施。その一員として、弊社エバーグリーンの代表である大邑も除菌作業に従事しました。

ダイヤモンド・プリンセス号での作業以降、国内では新型コロナの感染が拡大し、弊社でも企業等での新型コロナ対策の除菌等作業を請け負うようになりました。この新型コロナ対策の作業では、ダイヤモンド・プリンセス号の作業により大邑が得た知見が様々な点で活用されています。

今回はダイヤモンド・プリンセス号での作業の実態や感じた気持ち、作業で得た専門業者としての知見について、弊社代表の大邑からお話させていただきます。

ーーダイヤモンド・プリンセス号での除菌作業に参加するに至った経緯は?

ダイヤモンド・プリンセス号前にて撮影。一番右が大邑

ダイヤモンド・プリンセス号(以下、DP号と表記)での除菌作業に先に従事していた株式会社UNISonsさんから、私が理事を務める「一般社団法人日本特殊清掃隊」に、助太刀の要請をいただいたことがきっかけです。

先にDP号での作業についてご説明すると、除菌作業は3段階に分けて行われていました。まず1段階目が、自衛隊の方たちによる薬剤散布の作業。これは乗客や乗員の下船作業と並行して行なわれていて、人がいるエリア、すなわち薬剤散布が未実施のエリアをどんどん少なくしていく形で実施されたそうです。

2段階目が、換気です。3月の頭に最後まで残った船長が下船して船内が無人になってから、船内の空調フィルターを「HEPAフィルター」という高い粒子捕集率を持つ高性能なフィルターに替えた上で、空調機を1週間フル稼働させて船内を換気したと聞いています。

そして3段階目として、私達のような民間の人間も含めた人海戦術による、拭き上げ消毒の作業が行なわれたわけです。私たち日本特殊清掃隊が参加したのは3月の中旬頃で、そこからおよそ10日間、除菌作業に従事しました。

ーーダイヤモンド・プリンセス号での具体的な作業内容は?

DP号での拭き上げ消毒の作業は、海外の修復サービス企業であるBelfor社が中心となって行なっていました。そこからは毎日、200人くらいの作業人員が交代で作業にあたっていたようです。そことは別に、私たち日本特殊清掃隊はUNISonsさんと合わせて約30人でチームを組み、船内のレストラン2箇所と、デッキのプールに設置されているフードコートの除菌作業を担当しました。

作業内容は、消毒液を浸したペーパータオルによる船内設備等の拭き上げ消毒です。DP号では船内全体の管理監督をWHOとアメリカのCDC、それと日本の厚生労働省が行なう体制になっていて。作業の初日にこれらの機関が定めた作業方法について始動を受けて、実際の作業に入っていったんです。

防護服やマスクなどの作業に必要な道具はほぼ全て用意されている状況で、消毒液についても「VIROX(バイロックス)」というものを使うことになっていました。これは「加速化過酸化水素」を使った消毒液で、日本でも新型コロナ前から主に医療機関にて使われていたものです。

拭き上げ作業について具体的にお話すると、ペーパータオルを消毒液に浸して、床やテーブル、椅子など人の手が触れる場所をひたすら拭き上げる作業でした。壁であれば人間の手の届く高さから膝の高さぐらいまで、ひたすら上から下、上から下といった感じで一方向に。ゴシゴシと往復させるのではなく、一方向で拭き上げるのがポイントなんです。消毒液は、片手でちょっと握ったらポタポタと液が滴り、拭いた箇所がビシャビシャになるくらいたっぷり使います。それと、一度使ったペーパーは再利用せずに捨てていました。床についても全て、カーペットクリーナーという薬剤をまいた後にバキュームで吸い上げる道具を使い、作業しました。

ーーダイヤモンド・プリンセス号での作業で大変だったことは?

船内での作業の様子

除菌作業は防護服をしっかりと着用し、顔にはゴーグルとN95マスク、もちろん手袋も装着と、完全防備の状態で行なっていました。私たちが作業した3月中旬~下旬というのは、だんだん寒さも和らぎ暖かくなっていく時期。そのような時期にサウナスーツのような密閉された装備で作業をしていると、とにかく暑いんです。全身、汗もかきますし、ゴーグルも曇ってしまいます。それがとにかく、大変でした。

弊社エバーグリーンは暑い真夏の時季でも、特殊清掃などを行なう際には、感染防止対策で同様の完全防備で作業を行ないます。こうした作業はDP号での作業よりも過酷ですが「今日はちょっと暑いから30分単位で休憩しよう」といった感じで適度に休憩を挟めるんです。ところが、DP号での作業は基本的に、DP号のスタッフから指示を受けながら行うルールだったので、それほど頻繁に休憩をとることが出来なかったのです。

それに暑いだけではなくて、船内から出た時に着用していた装備を全て外すと、汗をかいた体が一気に冷えてしまい、今度はとても寒く感じてしまう。これも結構、大変でしたね。

それと、これは今となっては笑い話ですが、初日の作業が終わった後に、私は用意されていたホテルには泊まらずに自宅に帰るつもりだったんです。ところが、車で自宅に向かっている途中で嫁さんから電話がかかってきて。「今日は帰ってこないで!」と言われてしまいまして。仕方なく、その日は急きょ自宅の近くのビジネスホテルに泊まりました。当時は「なんだよ!」と思ったりもしましたが、まあ今思えば、その気持ちも分からなくはないですね。

ーー当時はまだ正体も不明だった「新型コロナウイルス」に対する恐怖心は?

船外での休憩等の様子

正直言って、怖いという気持ちはまったくありませんでした。というのも、私たちは清掃の専門業者であり、特殊清掃などの徹底的な感染対策が求められる作業の経験もありましたから。例えば防護服の正しい着用方法とか、そういった自分の身体を守るための知識やのウハウというのはきちんと持っています。

そういった点も考慮されて日本特殊清掃隊が作業を依頼されたんだと思いますし、日本中、というか世界中が注目している場所での作業を任されるというのは、やはり名誉に感じたのを覚えています。それは私以外の、日本特殊清掃隊に参加している各企業もおそらく同じです。それぞれの会社さんから代表クラスの人が参加していましたから。いずれにしろ、チームみんなで一致団結して作業して、無事に任務を果たせて良かったと思います。

ーーダイヤモンド・プリンセス号での作業から得た知見は?

港を後にするダイヤモンド・プリンセス号

色々と得られた知見はあるのですが、大きかったのは「加速化過酸化水素を使った消毒液」について知れたこと、新型コロナ対策としての除菌作業の適切な手法を知れたこと、それと「面体」の重要性について気付けたことです。

先ほどお話したとおり、DP号ではバイロックスという、加速化過酸化水素を使った消毒液が用意されていました。それまで私たちのような業者が消毒作業を行なう時には、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムを使うのが主流でしたが、これらには素材にダメージを与えてしまうというデメリットもあります。アルコールだと色落ちしてしまったり、次亜塩素酸ナトリウムだと錆びが出てしまったり。

ところが、加速化過酸化水素の消毒液であれば、そういった素材に対してダメージなく消毒作業ができるんです。しかも、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムの消毒液よりも殺菌効果が高いと、バイロックスの開発元はエビデンスを出しています。そうした消毒液について知り、実際に使ってみることができたのは、清掃の専門業者として良い経験になりました。

ちなみに加速化過酸化水素の消毒液は、新型コロナ前までは日本では手に入りにくいものだったのですが、DP号で新型コロナ対策として使用されたことで、日本国内でも開発が進められるようになり、すでに商品化が実現しています。これは私たち会社はもちろん、清掃作業の業界にとってはメリットだと言えますね。

新型コロナ対策としての除菌作業の適切な手法というのは先にお話したとおり、ペーパーに消毒液を十分に浸すこと、必ず一方向で拭き上げること、それと一度拭くのに使ったペーパーは捨てることなどです。DP号での作業後、弊社でも新型コロナが発生した会社での除菌作業を多く請けることになりましたが、こういったDP号での作業で学んだ手法を徹底するようにしています。

面体というのは、顔全体を覆うタイプのマスクのことをいいます。DP号の作業で私たちはゴーグルとマスクを別々に装着していましたが、これだとゴーグルが曇ってしまう問題がありました。ところが、BELFORのスタッフは面体を使っていて、そっちは曇ることがなかったんです。面体は正直言って高価ですが、曇らないというメリットは非常に大きい。この経験からDP号での作業以降は、エバーグリーンでも面体を大量に調達し、孤独死現場や火災現場、水害現場などで使用するようにしました。

私がDP号での除菌作業に従事したのは10日間で、これは作業全体でいえばそう多くはない期間です。それでも専門業者として学べたことは沢山ありますし、そこで得た経験や知見というのは会社などでの消毒作業に大いに生かされています。

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