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特殊清掃業者が行なう火災現場の復旧作業の中身 ~代表・大邑の体験談~

特殊清掃業者が行なう火災現場の復旧作業の中身 ~代表・大邑の体験談~

清掃業者が作業する現場は多様であり、火災が発生した現場の復旧作業というのも行なっています。清掃業者にとって火災現場はいくつもある仕事現場のひとつですが、一方でお客様にとってはきわめて非日常的なものであり、それゆえ実際に火事が発生して、業者に清掃作業を依頼する必要が生じた時に、慌ててしまったり困ってしまうことも多いという課題があります。

そこで今回は代表の大邑から、エバーグリーンが行なっている火災現場の復旧作業について解説させていただきつつ、悪質な業者にひっかからないためのポイントなどについても合わせてご紹介いたします。

ーーエバーグリーンの行っている火災現場復旧について、どのようなものか教えてください。

エバーグリーンでは、6~7年前から火災現場での復旧作業にも業務として取り組んでいます。具体的な作業内容は、火災現場の残置物の処理と消臭作業です。年間の作業件数は、2020年が11件、昨年2021年が10件です。時期的にいうとやはり冬場の作業が多く、例えば去年でいえば10件中4件が12月の作業でした。

火災現場での作業に取り組もうと思ったのは、その前から取り組んでいた孤独死現場の特殊清掃を活かせる作業であると思ったからです。残置物の処分というのも、基本的には仕分けをして処分するという作業であり、そこは孤独死現場と変わりません。

消臭作業についても同じです。むしろ、エバーグリーンが消臭作業に使っているオゾン脱臭機というのは、火災現場で発生するコゲ臭に強い特性もある上に、火災によって発生するダイオキシンを分解して除去してくれたりもするんです。

ーー具体的にどのような火災現場で作業を行っているのでしょう?

一言で火災現場といっても色々な現場があります。例えば、鍋やフライパンを炎上させてキッチンまわりを焦がしてしまった現場とか、寝タバコで室内がちょっと燃えてしまったとか。いずれにしろ、原状復旧すれば引き続き住むことができるような場所での作業が基本です。

ーー火災現場の復旧作業は、誰が依頼主になるのでしょう?

火を出してしまった本人からの問い合わせで作業を行うことが多いです。特にアパートのような賃貸物件であれば、火災による修繕は部屋主が加入する保険で対応することがほとんどですから、部屋主が作業を依頼することになります。

ーー火災現場の復旧作業の具体的な手順について教えてください。

お客様から電話でお問い合わせを受けたら、まずは「罹災証明書」が役所から発行されているかどうかをお尋ねします。なぜかというと、残置物を罹災ゴミとして処分するために必要になるからです。

震災や水害、火災などで被災した際には、罹災証明書を発行してもらうと、発生したゴミを「罹災ゴミ」として行政に無料で処分してもらえます。すると、私たちのような清掃業者の作業料金も、ゴミ処分代を気にせず人件費だけの計算になる、というわけです。

罹災証明の発行について確認したら、次に私たち清掃業者は行政との打合せを行います。これは罹災ゴミを受け入れてもらうための打合せです。

火災現場で発生したものは何でもかんでも罹災ゴミとして出せる、というわけではありません。自治体や担当者によって判断基準はそれぞれですが、例えば、完全に燃えてしまって使い物にならない家具であれば罹災ゴミとして出せますが、ススがついて汚れてしまっただけというものは出せなかったり、可燃ゴミなどの通常ゴミとして有料での回収となります。

また、本棚やタンスなどのように住人が買って置いたものか、キッチンなどのように部屋に元々備え付けのものか、というのも罹災ゴミとして出せるか否かの判断基準になっています。具体的にどこまでのものを罹災ゴミとして処分するのかを、行政と打合せをして決めるというわけです。

このように、ゴミの処分については火災現場ならではの手続きが必要になりますが、それ以外の消毒作業などについては、冒頭お話したとおり、孤独死現場などの特殊清掃と同様に行います。

ーー火災現場の復旧作業を依頼する際には、罹災証明がマストということですね。

そうですね。ゴミを罹災ゴミとして出すためにも必要ですし、それと保険会社に保険金を出してもらうためにも必要になりますから。

罹災証明書は、基本的には消防署に申請することで発行してもらえます。この際に必要な申告書類の様式や書類以外の提出物は市区町村自治体がそれぞれ定めているので、自治体のホームページを見るなどして確認すると良いでしょう。ちなみにエバーグリーンのある木更津市の場合では「り災証明書(申請書)」、「印鑑」「本人確認書類(運転免許証、パスポート、住基カード、保険証等)」、被害の状況が詳細にわかる写真」が必要と定められています。

ーー火災現場の復旧作業において、難しいことや大変なことは何でしょうか?

先ほども少しお話した、罹災ゴミの処分に関する行政との打合せが、難しいなと思うことがあります。

というのも、やはり行政の制度というのは、同じ法律や条例で運用しているとはいえ、現場での細かな判断基準が担当者によって違ってしまうのが実情なんです。電話で事前に問い合わせた時にはOKをもらえていたはずの話が、実際の作業時にはNGを出されてしまう、というようなこともあります。役所からは罹災ゴミで出していいと言われたのに、クリーンセンターで実際に出そうとするとダメと言われたりとか。

これは行政が悪いと言いたいのではなく、事前の綿密なコミュニケーションが重要だ、ということなんです。私たちとしても、例えば罹災ゴミを処分場に持っていって、そこでNGを出されてしまうと困ってしまいますし、一方で行政としてもダメなものはダメと言わなきゃいけないのも分かります。お互いに困らないように、事前に行政としっかりコミュニケーションをとり、きちんとコンセンサスをとってゴミを分別・処分する。こういった作業が火災現場復旧においては重要ですし、業者の経験やノウハウが必要になる部分でもあります。

さらに言えば、別のインタビューで「悪質業者」についてお話させていただいていますが、火災現場復旧において悪質な業者というのは、こういったゴミの処分を適当にやろうとしてトラブルになったり、あるいはゴミの処分は手続きが面倒だからとやらなかったりするわけです。

ーー保険金を出す保険会社とのコミュニケーションはいかがでしょう?

そうですね。保険会社などとのやりとりも、大変な作業のひとつです。というのも、悪質な業者の中にはお客様と結託して、本来かかるはずの費用を水増しして請求書を出して、お金を余計にだましとるようなところもあるんです。それを保険会社なども分かっていますから、火災現場の復旧作業に際しては、業者が適正に作業しているかを細かにチェックしなければなりません。ですので業者に対しては、こと細かに作業内容の報告を求めてくるわけです。

とある現場では、よりによって部屋の中についている消防関係設備が漏電したことで火災が発生してしまって。しかも建てたばかりの建物で、とても故障するようなことは考えられない、という話だったんです。結局のところ設備の会社側がすべて補償することになったのですが、作業の報告などのために何十枚ものリストを作って提出することを求められて。全てが終わるまでに何だかんだと半年ほどかかりましたね。

ーー行政や保険会社とのやり取り以外に、火災現場復旧ならではの難しさや行っている工夫などは?

特殊清掃などの他の現場との違いというお話をするならば、火災現場については先ほどもちょっと話題に出たダイオキシンが発生しますので、通常のマスクではなく、防塵フィルターのついた性能の高いマスクを使用する必要があります。そこがひとつ、大きな違いですね。

他には、これも先ほどちょっと出ましたが、ススが付いた家具などの清掃。実は、ススが付いて汚れた場合には、濡れた雑巾などで拭き作業をしてはいけないんです。ススが水で溶けて墨汁のようになってしまい、余計に汚れを広げてしまいますから。ですからススで汚れたものは、まずは乾拭きをしてススを落としてから、薬剤の入っているペーパーで拭くなどします。これも、火災現場ならではの作業の工夫です。

それと、火災現場からゴミなどを出す搬出経路を丁寧に養生することも大事ですね。ススが付いたものを運ぶと、どうしてもススが落ちてしまいますから。特に集合住宅で作業を行うときには、こういった周囲への配慮というのも重要になってきますし、良い業者かどうかを見極めるポイントとも言えるでしょう。

ーー火災現場の復旧作業をする業者を探す際に、お客様が気を付けるべきことなどは?

やはり「慌てない」ということです。火災現場の場合、自分が火災を起こしてしまったという負い目もありますし、賃貸だと大家さんなどからは早期の復旧を求められたりもするので、どうしても冷静な対処は難しいのが実情でしょう。

しかし、ここまでのお話でも触れたとおり、残念ながら火災現場の復旧でも悪質な業者というのがいますから。そういった業者にひっかからないためにも、まずは慌てずに、適正な作業を行える業者を探していただければと思います。

エバーグリーンのコラムでは、火災の後始末の手順や注意点などについて解説した記事もありますので、そちらも合わせて参考にしていただければと思います。

大邑政勝

この記事について

監修

大邑政勝

  • 家財整理専門会社エバーグリーン 代表
  • 一般社団法人 家財整理相談窓口 理事
  • 一般社団法人 日本特殊清掃隊 理事

特殊清掃、遺品整理、火災現場復旧など10年にわたる現場経験と多種の資格を有し、豊富なノウハウで顧客第一のサービスの提供に努める。

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