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ゴミ屋敷で孤独死が起きたケース。片付けと特殊清掃がどのように行われるのか事例をもとに解説します

ゴミ屋敷で孤独死が起きたケース。片付けと特殊清掃がどのように行われるのか事例をもとに解説します

孤独死とゴミ屋敷、どちらかだけであってもご遺族がうける心理的負担は大きいのに両方セットとなってしまったときのダメージは相当なものだと思います。
なによりもごみの中でお亡くなりになるご本人様の無念は想像に難くありません。

実際、孤独死とゴミ屋敷が重なるケースは実は少なくありません。

様々な理由からセルフネグレクトとなってしまい片付けが出来なくなってしまった結果ごみの中で生活を送ることとなり、その結果として体調をくずし最終的にごみの中でお亡くなりになる。
このようなケースのご依頼は実はかなり多いです。

今回は実例を元にこのようなケースの依頼があった際の清掃作業がどのように行われるかを解説したいと思います。

1.ごみ屋敷での孤独死について

今回のケースでは室内は孤独死現場特有の臭いも強く、ご遺品及びごみの片づけと特殊清掃(消臭含む)のご依頼をいただきました。

部屋の中にはご遺品とごみ(弁当や飲み物の空き容器など)が大量にある状態で一見してどこでお亡くなりになられたのか判断が難しいような状況でした。

ご遺族から伺ったお話と現場の状況から推測すると、お亡くなりになられた方はもともと持病をお持ちで体調を悪くしたものの助けを呼ぶこともできずベッドの横でごみの上に倒れこみそのまま亡くなられてしまったようでした。

マンションの管理人さんに聞いたところ近所付き合いはほとんどなかったそうで、外に出ることも少なくその結果として悲しいことに孤独死となってしまったそうです。

2.片付け作業の解説

2-1 ご遺品の整理とごみの片づけ

作業開始に当たってまずはしっかりと建物の養生を行います。

今回はマンションの5階でしたので本来であればエレベーターを使いわせていただきたいところですが、臭気が強く上階にオフィスがありエレベーターの使用頻度も高いことから屋外階段を使用して搬出を行います。

現場は雑居ビルが密集しており、また付近にはファストフード店等の飲食店があります。

人の往来も多い為臭い漏れは即クレームへつながる状況です。

汚染物の梱包搬出には大変気を遣う状況のため何重にも梱包をし臭い漏れ対策を行います。

廃棄物については自治体の許可をもった業者に現地に来てもらいしっかりと引き渡しを行います。

今回は前述の理由から事前に搬出し1階に集積しておくことが難しかったため、引き渡しの直前まで部屋において置き許可業者が来た段階でスタッフ全員がかりで階段を使って搬出しました。

(おろし終わったあとはペットボトル2本一気飲みできるくらい汗をかきました)

2-2 特殊清掃作業

ご遺品の整理及び廃棄物の処分が進むにつれてお亡くなりになられた箇所がはっきりとわかるようになってまいります。

写真ではわかりにくいですが、中央部分の黒い染みが体液による汚染です。

よくいただくお問い合わせにご遺品はそのままで先に特殊清掃と消臭をしてもらえないかというご質問をいただきます。

初期対応など対応可能な作業もありますが、今回のように物がお部屋あら無くなって初めて特殊清掃ができるというケースは少なくありません。

消臭にいたっては物が臭いを吸い込んでいるため基本的にはご遺品の整理の後でないと難しいことがほとんどです。

ケースバイケースといえばそれまでですがお見積りの段階でそういった事情もかんがみてしっかりと作業工程についてご説明させていただいております。

通常はまず汚染がどこまで進んでいるか状況を確認することが先決ですが、今回はミニキッチンの破損によって長年にわたる汚水漏れが生じており部屋全体にカビが生えてしまっている状況でした。(壁含む)

そのため絨毯を剥がしてみても体液による汚染なのかカビなのか目視では判断が難しく臭気を確認しながら慎重に汚染範囲をさぐっていきます。

敷き詰めの絨毯、その下のフェルト及び合板を剥がしたところ、見た目では広範囲が汚れているように見えますが、ほとんどがカビによるもので、体液の汚染はそこまで広くないことがわかりました。

床の上にあった物が腐敗体液の大部分を吸っており床面の汚染自体は臭気から想像していたよりは少なかったことが不幸中の幸いでした。また一番下のコンクリートの部分も汚染は無くきれいな状態でほっとしました。

床材については洗浄後コーティングすることで十分に対処できると判断しました。

今回は汚水やカビによるダメージもあるため一概に床材全てを残した復旧が出来るわけではないと思いますが、特殊清掃における解体作業は極力範囲を少なくすることで現状復旧にかかる費用を少なくすることを念頭において行っております。

2-3 消臭作業

壁紙は全て剥がし建具の清掃を入念に行います。

オゾン消臭を行う前の大切な工程として、事前に臭いの原因となっている物質を落としておくことは大切です。

例えば今回のお部屋の窓については2回薬剤でしっかりと拭きましたが臭いがとれずさらに何度か拭き上げをおこないました。

臭いがなかなか取れない原因としてハエが考えられます。

体液から生まれたハエは体液にとまった脚で部屋中(特に窓)にとまることで足跡をつけていきます。

ハエが大量に沸いているような現場の場合、ご遺体があった場所だけではなくそこら中に体液があるのと同じと考えなければなりません。

臭いがしみ込んでしまったクロスを撤去することや建具や窓をしっかりと清掃することでその後のオゾン消臭の効果を大幅に上げることができます。

しっかりと下処理を行った後はオゾン消臭機をしかけて数日間自動運転を行います。

オゾン消臭器を床に置いてスイッチを入れておしまいという業者も多いそうですがオゾンは必ずしも万能というわけではなく、知識と下準備があってはじめて強力な武器となるということをしっかりと念頭において使う必要があります。

3.まとめ

消臭が終わりましたらお客様に引き渡しとなります。

今回は片付け作業に2日、消臭作業に3日です。

作業代金はお客様が廃棄物処分業者に支払った金額と合わせて約70万円でした。

いつも思うことですが、

臭いもなくなり、窓をあけて乾いた風を室内に入れ

お線香を焚いてお亡くなりになられた方のために手を合わせると

とてもすがすがしい気持ちになります。

大邑政勝

この記事について

監修

大邑政勝

  • 家財整理専門会社エバーグリーン 代表
  • 一般社団法人 家財整理相談窓口 理事
  • 一般社団法人 日本特殊清掃隊 理事

特殊清掃、遺品整理、火災現場復旧など10年にわたる現場経験と多種の資格を有し、豊富なノウハウで顧客第一のサービスの提供に努める。

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