2025年の夏は局地的な集中豪雨が目立っている年でした。
6月〜8月の平均気温は平年より2.36℃上まったと気象庁が発表しました。8月5日には群馬県伊勢崎で国内最高気温の41.8℃を記録しました。
8月6日から線状降水帯をともなう大雨が、北日本から西日本にかけて広範囲に発生し、洪水・浸水・土砂災害が誘発されました。被災都道府県は14府県、住宅被害5,444棟、人的被害33名あり、うち8名が亡くなりました。
気候変動の影響により、こうした線状降水帯の発生頻度は年々高まっており、これまで水害と縁遠かった地域でも突然の床下浸水被害が起きるケースが増えています。「まさか自分の家が」という状況が、誰にでも起こりうる時代になっています。
エバーグリーンでは水害復旧作業という業務を日ごろから行っております。当社にも被災があった翌日から水害被害のご相談を多数いただいておりますが、全国にも水害に対応した業者はまだまだ少ないです。
そのため被害を受けた建物すべてをプロの技術を持った業者が対応することが難しく詐欺業者が横行することが懸念されています。
水害の復旧作業はまだまだ正しい施工法なども周知されていないため消毒剤を散布するだけで終了のような話もよく聞きます。必要な工程はしっかり「洗浄」「乾燥」「消毒」、基本的にはこれだけですが水害の場合床下での作業などが必須となるケースが多いため高い技術力が求められます。この3工程のどれか一つでも省略されると、後日カビや悪臭が再発するリスクが高まります。安価を売りにする業者の中には消毒だけ行って作業完了とするケースもあり、後から追加費用を請求されるトラブルも報告されています。
肉体的にも簡単な作業ではありません。なんとなく薬剤をまいてOKでは決してないということをわかっていただければと思います。
以下に当社水害復旧作業の施工事例をご紹介しますので一読ください。
Contents
当社施工事例(床下浸水)
水害復旧作業の正しい施工法として当社水害復旧作業施工事例をご紹介いたします。
事例:配管破損による汚染
配管の破損に数週間気が付かなかったため建面積30㎡の床下コンクリート基礎全体に腐敗した汚水がたまっており、腐敗臭もきつい状態です。
床下浸水は外部からの浸水(豪雨・河川氾濫)だけでなく、今回のように配管破損による内部からの汚水流入でも発生します。いずれの場合も、発見が遅れるほど腐敗・カビの進行が進み、清掃の難易度と費用が上がります。異臭や床のきしみ・変色に気づいたら、早めに専門業者へ相談することをお勧めします。
洗浄
点検口は台所と和室にありそこから進入します。床下はかなり狭いですが体をよじりながら進みます。基本的にはまずは「洗い」によって汚染物を除去することが第一のため真水を大量に注水しながら洗浄をしていきます。
床下への進入は、狭さと悪臭・雑菌リスクが伴う非常に過酷な作業です。作業員は防護服・防塵マスク・ゴム手袋などの装備を着用した上で作業にあたります。一般の方が安易に自力で行うことは健康被害の観点からも危険であり、専門業者への依頼を強くお勧めします。
汚水は台所からのもののため油分が多く1、2度洗ったくらいでは全く綺麗にならないため薬剤での洗浄を含め何度も行い徹底的に汚染物の除去を行います。幸い今回は断熱材などは汚染されていませんでしたが根太木などは部分的に汚染されてしまったため丁寧に洗浄を行い部分的な解体も検討します。
洗浄に使用する薬剤は汚染の種類によって使い分けます。油分主体の汚染にはアルカリ系洗剤、生物由来の腐敗汚染には酵素系洗剤や次亜塩素酸系の薬剤が有効です。誤った薬剤の選択は素材を傷めたり、効果が得られないまま工程を進めることにつながります。
高圧洗浄機を使うと作業は早いのですが汚泥がはね綺麗な部分まで汚染されてしまう恐れがあり今回は高圧洗浄機は使わず地道に洗浄をしていきます。
洗った部分は乾くと綺麗なコンクリートの色がでます。全体がこのレベルまで綺麗になるように洗浄をしていきます。床下はかなり狭く方向転換もままならないため、なんだかんだでこの工程だけで数日かかっています。
ちなみに今回は建物オーナー様が建築関係に明るい方で排水方法なども事前に相談させていただき基礎の一部に新規で排水穴をあけさせていただきましたので、排水ポンプを使う必要が無く(水がたまる部分があり補助で多少使いましたが)大量の水を注水し洗った水は排水穴からどんどん排水していく大変効率のよい作業ができました。
排水穴の設置は建物の構造によって判断が必要なため、施工前にオーナー様や建築士・施工業者と連携して進めることが理想的です。今回のようにオーナー様の事前理解と協力があることで、作業効率と仕上がり品質が大きく向上しました。
乾燥
洗浄が終わったら乾燥です。今回の現場は通風孔がたくさんあり風もふいていたため自然乾燥だけでもどんどん乾燥していくような状態でしたが、風が抜けない袋小路が基礎部分に何か所かあるためサーキュレーターを大量に床下に入れ、同時に送風機で風の流れをコントロールし強制的に大量の空気が流入する状態をつくり一気に乾燥させることにしました。しっかりと乾燥させることでこのあとの「消毒」の効果を得ることができますので手を抜かずに乾燥の作業を行います。
乾燥が不十分なまま消毒工程に進むと、残留水分を温床にしてカビが繁殖し、消毒の効果が半減します。特に梅雨〜夏場の高温多湿の時期は、乾燥に要する時間が長くなるため、送風機・除湿機・サーキュレーターを複数組み合わせた強制乾燥が欠かせません。湿度計を使って床下の湿度が60%以下になったことを確認してから消毒工程に移ることが理想的です。
消毒
乾燥が完了しましたら最後に仕上げの消毒を行います。今回は食べ物の腐敗臭もするため消臭もかねています。水害で怖いのはなんといってもカビの発生です。断熱材が濡れてしまうとカビが大発生する原因となります。その場合は基本的には断熱材を交換する大規模なリフォームが必要になりますが今回は床下の断熱材に被害はありませんでしたので消毒を隅々まで行うことでカビの発生と雑菌の繁殖をおさえます。
床下全体をカバーするために当社では薬剤の散布とオゾン燻蒸を併用しています。オゾン燻蒸施工の際はしっかりと養生を行い高濃度でのOST法を施工します。
オゾン燻蒸(OST法)は、高濃度のオゾンガスを密閉空間に充満させることで、手作業では届きにくい隙間・木材の内部・コンクリートの微細な凹凸にまで消臭・除菌効果を浸透させる手法です。薬剤散布だけでは届かない箇所まで処理できる点が強みですが、高濃度オゾンは人体に有害なため、施工中は必ず建物を密閉・立入禁止にする必要があります。施工後は十分な換気を行い、安全を確認してから入室するなどの適切な管理が不可欠です。
ここまでやって完成です。
まとめ
昨今、台風に限らずゲリラ豪雨等により水害は増加傾向にあります。水害から家を復旧するには「洗浄」「乾燥」「消毒」が必要不可欠です。水害で被害を受けた上にさらに悪徳業者の被害を受けないためにも、正しい施工をすることのできる業者を選ぶ参考にしていただければ幸いです。
業者を選ぶ際は、以下のポイントを確認することをお勧めします。
• 「洗浄→乾燥→消毒」の3工程すべてを実施しているか
• 床下への実際の進入作業に対応しているか(消毒剤散布のみで完了する業者は要注意)
• 見積もりが無料で、作業内容と費用が書面で明示されるか
• 施工実績や事例が公開されているか
• 「一般廃棄物収集運搬許可」など必要な許可を取得しているか
この記事について
大邑政勝
- 家財整理専門会社エバーグリーン 代表
- 一般社団法人 家財整理相談窓口 理事
- 一般社団法人 日本特殊清掃隊 理事
特殊清掃、遺品整理、火災現場復旧など10年にわたる現場経験と多種の資格を有し、豊富なノウハウで顧客第一のサービスの提供に努める。


