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マンション等の火災現場の現状復旧と消臭作業についてくわしく解説します

マンション等の火災現場の現状復旧と消臭作業についてくわしく解説します

火災現場の消臭や煤落としのお問い合わせは冬場を中心に数多くいただいておりますが、
そういった案件に慣れている依頼者の方はほとんどおらず、個人様、法人様を問わず皆様どうしてよいかわからないとお問い合わせいただくことが多いです。

今回はマンションなどの火災現場の現状復旧と消臭作業について全体的な流れがわかるような記事を書かせていただこうと思います。

1 火災現場の被害とは?

1-1 火による被害

火災が起きた時の被害にはまず火炎による焼損があります。直接火よって燃えてしまうことを指し、その被害はクッションだけが燃えてしまったようなボヤ程度のケースから家具などの家財は全て燃えてしまい建物自体も炭化してしまっているようなものまで程度は様々です。ちなみにボヤ、全焼など火災によって報道などで呼び方が異なるのはその火災による焼損面積(ボヤなら1㎡未満)によるそうです。

1-2 水による被害

 火災による被害は火によるものだけとは限りません。代表的なものに消防の放水による被害、いわゆる水損があります。アパートやマンションなどの上階で放水を行えば下の階にも水による被害が及びます。何百リットルに及ぶ放水による水の被害は深刻で、煤を含んだ水が家財にしみ込んで使用不能にしてしまいます。各自治体の消防でも放水による水による被害を減らすことは課題として考えており、ホース(筒先のノズル)の径を60㎜から40㎜に小さくするなど放水する水の量自体を減らすなど対策をしているそうです。

1-3 煤による被害

そして火や水による直接の被害はなかったとしても、煤による被害というものがあります。煤は火災によってものが燃えた際に発生する煙が原因となります。煙が通ったすべての部分に煤は付着をするため被害は広範囲に及び、マンションの一室で火災があった場合などで早期に鎮火できた場合であっても風向きによっては共用部や上階や隣のベランダなどが煤で汚染されてしまうということが多くあります。煤はふわふわと風によって運ばれるため火災が完全に鎮火したあとも早期に対処しないと臭いや汚れを広げる原因となってしまいます。また、煤は燃えたものによって性質が異なるため油を含みタール状になったものや風が吹けば飛んでいくようなものまで様々のため除去する方法も状況に応じて異なります。よってこの煤による被害は一番厄介といえるかもしれません。

2 復旧の作業の流れ

火災の被害からの復旧のゴールは当然元通りの生活ができるようにするということです。そこに至るまでは多くの工程がありますが大きく分けると以下のような流れになります。

燃えてしまったものの撤去・解体
 ↓
煤落とし
 ↓
消臭作業

まず最初に行うことは同じで燃えがらの撤去です(水損により使用不能となった家財も含みます)。火災の燃えがらを処分するのは通常の一般廃棄物の処分(遺品整理等)とは異なり各自治体との調整が大変重要となります。なぜなら処分方法によりかかる費用が大きく変わってくるのです。例えば、産業廃棄物として業者に丸ごと処分を委託する方法もありますが、そのようにするととんでもない金額を請求されてしまう場合もあります。私が知っている限り普通の一軒家で解体処分費をあわせて数千万円の見積もりとなったケースがありました。
廃棄物の処分費用を抑えるためには行政と念入りに打ち合わせをします。消防から発行される罹災証明があれば費用負担なしに処分できるものもあるので、可能な限りその形で処分ができるように交渉をします。それ以外のものも細かく仕分け分別を行うことで受け入れてくれる処分場の選択肢を増やすことができます。こういった交渉にはことは個人では難しく経験が必要となります。

燃えてしまった家財を撤去したあとは内装を解体撤去します。火災の場合は多くの場合で解体作業を伴います。一軒家が全焼した場合などは建物全体を解体する場合もありますが、マンションの場合は全体が燃えるというケースは少ないため各区画された居室単位での部分的な解体となります。ボヤ程度の被害であっても天井裏に煤がまわってしまった場合などは天井を解体しないと煤落としが出来ないことが多く、スケルトン状態までにしてしまうことも少なくありません。ここででる廃棄物についても前項と同様に安く処分するために仕分け分別をすることを検討します。

燃えがらの撤去や、解体作業が完了すると煤落としの作業に入ります。煤落としをしっかりとしないと内装を復旧したあとで臭いが戻る原因となったりなにかのひょうしに煤が隙間から出てきたために家財や壁紙を汚してしまう原因となります。ほんの少しの煤も驚くほど悪さをします。スケルトン状態にした結果ほとんどの煤はとれたため煤落としはせずに復旧したところあとから臭いが出てきたというケースはよくあります。しっかりと細かいところまで煤落としは丁寧に行うことが大切です。

ここまでが消臭作業までの一連の流れになりますが、消臭の前に可能な限り臭いのもととなる原因物質は除去するということが大切です。原因物質が残っていれば消臭を完了してもそこから新しく臭いが出てきてしまます。なんども繰り返しになりますが、火災の場合は“煤を除去する”ということは消臭作業にとっては非常に大切な工程となります。

3 オゾン燻蒸

燃えがらの撤去と煤落としが終わったら消臭作業に入ります。消臭作業はオゾン燻蒸、薬剤散布塗装による封じ込める作業を複合的に行います。その中でもオゾン燻蒸作業は火災においてはダイオキシンの除去という効果もありますので大変重要な工程になります。オゾン燻蒸の効果を最大限引き出すためには煤落としの段階で臭い物質を可能な限り除去することが必要なためクロスを剥がすなどもここまでに済ませます。

オゾン消臭機はただ置いただけでは最大限の効果を得ることは難しく気温や湿度、風量、適切な換気など細かく計算をする必要があり弊社ではOST法(オゾンショックトリートメント法)にのっとり脱臭マイスターの資格を持った人間が施工します。

4 コンクリートスラブ、壁面の処理

消臭の施工方法のひとつで特殊コーティングによる臭いの封じ込めがあります。コンクリート面などで煤がしみ込んでしまった場合や面積が広い場合は煤落としに大変時間と手間がかかるため費用は高額になります。そういった場合は表面の煤を落としコーティングをしてしまうことで臭いを封じ込めるということも可能です。

5 まとめ

  • 火災現場の被害には焼損と水損、そして煤での損害がある。
  • 火災に伴う廃棄物の処分費は処分の仕方に応じて大幅に金額が変わってくる。
  • 火災現場の復旧作業には適切な順序がある。
  • 煤落としは消臭のためにはとても重要な工程。
  • オゾン燻蒸は消臭だけでなくダイオキシンの除去の点でも大切である。
  • 煤落としには場合によってはコーティングによる封じ込めを行う施工方法もある。
大邑政勝

この記事について

監修

大邑政勝

  • 家財整理専門会社エバーグリーン 代表
  • 一般社団法人 家財整理相談窓口 理事
  • 一般社団法人 日本特殊清掃隊 理事

特殊清掃、遺品整理、火災現場復旧など10年にわたる現場経験と多種の資格を有し、豊富なノウハウで顧客第一のサービスの提供に努める。

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